YMYLとは?
YMYLとは、人の将来の幸せや、健康、財産、安全に影響を与える可能性があるトピックを含むページの事を意味します。Googleの検索品質評価ガイドラインに定義されている Your Money or Your Life Pages の頭文字とった言葉です。
YMYLに関連するトピック
YMYLの例としては以下のようなページが挙げられます。
- ニュースや現在のイベント
国際的なイベントやビジネス、政治、科学、技術など重要なトピックに関するニュース。ただし全てのニュース記事がYMYLとみなされるわけではありません(スポーツ、エンターテイメント、日常のライフスタイルなど)。 - 市民社会、政治、法律
投票や政府機関、公共施設、公共サービス、法的な問題(離婚や子供の親権、養子、遺言など)など市民生活を維持する為に必要な重要な情報。 - 財産
投資や税金、定年後の計画、ローン、銀行取引、保険に関する財産アドバイスや情報、オンラインで送金、購入を許可する特定のウェブページ。 - ショッピング
研究やグッズ/サービスの購入に関するサービスについての情報や、オンラインで購入する事を目的とした特定のウェブページ。 - 健康と安全
医療の問題、薬物、病院、緊急事態への備え、危険な行為などに関する情報やアドバイス。 - 人々のグループ
人種や民族起源、宗教、障害、年齢、国籍、退役軍人、セクシャルオリエンテーション、性別、ジェンダーアイデンティティを含む、但しこれらに限定されない人々のグループに関する主張や情報。 - その他
YMTLとみなされるような大きな決定や重要な観点に関するトピックはたくさんあります。例えばフィットネスと栄養、住宅物件の情報、大学受験、就職活動など。
YMYLトピックに関する検索ユーザー側からの要望
特に健康・医療に関する分野では、検索結果で不確かな情報が掲載されてしまうと、検索ユーザーが深刻な被害を受けてしまう場合もあります。このような取り扱いに注意が必要な情報を企業として適切なチェックを行わずにSEO目的で大量に掲載し、ネット上で炎上した事件がありました。ニュースにも飛び火した為、覚えていらっしゃる方も多いでしょう。
YMYLのトピックに関連するページでは、ユーザーはGoogleなどの検索エンジン対して信頼性や安全性に関して最も厳しい基準で評価する事を望んでいます。
Googleの対応
GoogleのアルゴリズムはYMYLトピックと関連するユーザーのクエリを検知し、検索順位システムの評価に関して様々な要素(回答として提供するページの信頼性や専門性、権威性を理解に役立つ)をより重要視するようになっています。場合によってはそのドクターのLinkedInプロフィールへのリンクも提供してくれるようです。
Bingの対応
健康関連のクエリで検索した際に、医療の専門家が内容をチェックしたページであるかどうかが表示されるようになっています。
E-E-A-T(旧EAT)とは?
E-E-A-Tとは、YMYLトピックを評価する際に重要視される要素のうち、体験(Experience)、専門性 (Expertise)、権威性 (Authoritativeness)、信頼性 (Trustworthiness)の事を意味します。それぞれの頭文字をとってE-E-A-Tと呼びます。この四つの要素の中では信頼性が最も重要視されているようです。信頼性が低ければ体験や専門性、権威性にかかわらずE-E-A-Tは低くなります。
専門性と体験の違い?
専門性は専門家としての信頼できる情報であるかどうかを意味し、体験は個人的な体験(人生経験など)であるかどうかを意味しています。
専門性と権威性の違い?
専門性の場合はコンテンツ作者のスキルや知識の判断基準を意味し、権威性はそのコンテンツが他のコンテンツと比べてどの程度際立っているかを判断する基準を意味するようです。
新たにE(Experience)が追加
2022年12月にGoogle検索品質評価ガイドラインに新たにExperienceが追加され、E-E-A-Tとなっています。体験(Experience)は、現地に訪れたり、実際に試したりなどある一定の経験や体験に基づいて作成されたコンテンツのことを意味するようです。
例えば、納税申告書の記入方法についての情報を探している場合は、会計分野の専門家によって作成されたコンテンツを参考にしたいと思うかもしれません。一方で納税申告に関するソフトウェアのレビューを探す場合には、さまざまなソフトウェアを使用した経験を持つ人々が集まって議論しているフォーラムが参考になるかもしれません。
コンテンツや著者のE-E-A-T評価方法
過去のGoogle側のコメントからは以下のようなものが考えられるそうです。
- PageRank
- 記事の著者またはレビュー者の情報をウェブサイトで明らかにしている事
- 著者の写真が偽物ではない事(ストックイメージから使用したものではない事)
- ウェブサイト全体
- コンテンツ自体
- 構造化データ(Articleのauthor, author.name, author.urlプロパティ・適切なauthor typeの指定)
最も良く知られているシグナルは PageRank で、ウェブのリンクを使用して権威性を評価しています。
E-E-A-Tはクエリ単位で適用されているようです(2022年11月SMX NextのHyung-Jin Kim氏の発言)。クエリによって、そのクエリの専門家であるかどうか、信頼性や権威性を持つ著者かどうかが判定されているのだと推測します。
EEATはスコアでもランキングファクターでもない
以下のドキュメントでは、EEATの各要素について、複数のシグナル(要因)に基づいて総合的に評価していると記載されています。そのため、特定の要素を改善したからといってEEATの全て、またはEEATのいずれかの評価が直ちに改善されるといったものでもありません。
Google の自動システムは、さまざまな要因に基づいて優れたコンテンツをランク付けするように設計されています。関連するコンテンツを特定した後、最も役に立つと判断されたコンテンツに高い優先順位を付けます。そのために、どのコンテンツが、エクスペリエンス(Experience)、高い専門性(Expertise)、権威性(Authoritativeness)、信頼性(Trustworthiness)、すなわち E-E-A-T の面で優れているかを判断するための要素の組み合わせを特定します。
E-E-A-T と品質評価ガイドラインについて
Googleは検索品質評価者を募り、検索品質評価ガイドラインに沿って第三者(人の手)によりGoogleの品質を評価しています。そしてGoogleはその評価をもとにアルゴリズムを改善しています。そのため、EEAT自体は検索品質評価者向けのドキュメント上の概念という扱いで、直接的に評価に使用される指標やスコアではないということを明らかにしています。
Raters use the *concept* to rate pages *in other ways* so we can *evaluate* how our search results perform. They don’t assign an E-E-A-T “score” to pages; their rating also aren’t used directly in rankings.
Google Search Liaison Xの投稿
YMYLトピック関連の記事を作成する方法
その分野の専門家に依頼する
特に健康関連の分野で、あなたがその分野の専門家ではない場合は、正確かつ信頼できるコンテンツを作成する為に以下のような方法も検討すると良いそうです。
- 専門家を探して記事を書いてもらう
- あなたが書いた記事をレビューしてもらう
あなたの友人が、そのまた友人に共有できるようなコンテンツとなるように、細心の注意を払ってチェックしましょう。
専門家の名前を借りても意味は無い
一方で単純に専門家の名前を借りて明示するだけではE-E-A-Tの評価向上には繋がらないようです。これは検索ユーザーからすれば期待通りです。品質の低い記事に対して専門家の名前を借りて記載したとしても、記事の品質が低ければそもそも手助けになりません。逆に専門家のE-E-A-Tスコアのようなものがあるのであれば(実際は無いとGoogleは名言していますが)、専門家側の評価が低下しそうです。
専門家の詳細をウェブ上で明示する
また、例えば専門家の医師にレビュー、または記事を書いてもらった場合には、訪問者に信頼してもらえるように出来るだけ詳しい情報を提供すると良いようです。
- その医師に関するテキスト情報
- 医師のプロフィールへのリンク
Googleはいくつかの要素を元にその専門家が誰なのか、どのようなエンティティ(実態)なのかを理解しようとします。その要素の一つを挙げるとすると、例えばプロフィールページへのリンクのようなものが考えられます。
GoogleのJohn Muller氏は様々な記事ページから共通してリンクする中央地点となるページ(例えばSNSプロフィールページなど)を設定する事をすすめています。著者が作成したあらゆる記事から、SNSプロフィールページへのリンクが設定されていれば、Googleはそのページをクロールした際に、SNSプロフィールと関連している事がわかり、各記事が同じ著者によって書かれている事と認識します。そしてこれらの記事をエンティティでグループ化して利用し、エンティティは共通のSNSプロフィールを基準とする事もあります。このようにしてGoogleはエンティティを作成しています。
※このような処理を reconciliation (調和・一致)と呼ぶようです。
更に2021年8月6日に著者情報をGoogleに伝える方法としてauthor.urlプロパティの追加が推奨となりました。author.urlプロパティは記事の正しい著者を判別する手助けとなるようです。
Googleが参考にするとはいえ、著者情報は読者に向けた重要な情報のです。ランダムに変えたりしない方が良いでしょう。
YMYL・E-E-A-Tに関する良くある質問
YMYLの要素も含めて、高い品質のコンテンツを作成する方法については以下の記事をご覧ください。